yusakunakajima
NSFW Safe
Is this playlist safe for work?

Words are spoken (jp)

3 comments on Words are spoken (jp)


石蕗 / how to clip your own nails

急にふりだしたとおもったら大雨になった。
まっすぐにのびたやたら長い道の途中で
息をのむくらいに叩きつけるどしゃぶり、
こりゃ走れないとあきらめて車を止めた。

雨はすぐにやんだ。
とたんに風が凪いだ。
ぼろ切れで皿を拭うようにして晴れていく。
見なくたってわかるのについ確かめる。
どこもかしこも水びたしで空だけが青い。

雨がやんだら道に草が生えてきた。
ふくらんだ蕾から花がぽこぽことひらいていく。
夏木立ー雑木林ーと思う間に森だ。
代わりに車が錆びた……玉手箱みたいに。

ただみたいな値段で譲り受けた軽トラだ。
ほっといたってじきにその日はやってくる。
錆びるどころか蔦までからまりついて、
案の定エンジンはもうかからなかった。

苔むす木々と時間のなかに埋もれて、
さっきまでの道はもうない。
岩陰からうさぎのいびきがきこえてくる。
雨にかき消された音がいつの間にか戻ってきた。

動かない車に乗る馬鹿はいない、
とおもいながら今のところはまだ乗っている。
追い抜いていく足音をいくつ耳にしようと、
もたもたする権利を手放す気はない。

ここがどこかなんて知ったことじゃない
けどここまでは来た、昨日みた明日
何処を問わず、距離を測らず
ただそう思えるまでがさなきだに遠い
どうかすると先へ行きたがる季節に
すがりながら、ここまでは来た
目の前に明日
雨はもう降らない、ひとねむりしたら
車を降りよう、地面が待っている

あたらしい風向き、これからのあらすじ。
やっぱなし、叩くキー、コントロール+Z。
なんてもう言わずに、むしろ鬼の目をぬすんで
賽の河原でBBQ(そんなふうに暮らす日々!)

くらべればどうしたって見劣りがするから、
これで足りてるってとこから始めたいんだ。
値打ちはどうあれかろうじて残ったものを、
気の毒におもわれる筋合いはない。

思うに……踏み出すために必要なことは
たぶん三つある。

①時計を木っ端微塵に吹きとばすこと。
②天秤も木っ端微塵に吹きとばすこと。
③そういうのをいちいち列挙しないこと。

車は降りた。ついでに靴も脱いだ。
枯れ枝が足のうらでパキンとくだける。
百足にからまれて、ぬかるみによろめく。
景色はゆっくりとうしろに流れる。

みんなひょいとまたいでいく石ころにつまづき、
倒れこんだかたわらに無言で咲く石蕗。
「ずっとここにいましたけど」って顔をしてるな!
そんな目でみられた日には、じたばだもしづらい。

いつの間にか足にも巻きついていた蔦を、
いつの間にか慣れた手つきでほどいていく。

肝心なのはこうして立ちすくむときの不安が、
のびてきたら切る爪みたいなものだと知ることだ。

ここがどこかなんて今も
知ったことじゃないけど
ここまでは来た
昨日見た明日
指折り数えず
距離を測らず
これでいいと思えるまでがさなきだに遠い
どうかすると先へ行きたがる季節に
すがりながら、ここまでは来た
一歩一歩が目的地だ
負けず嫌いの左足と
目立ちたがる右足のために
歩き始めたんじゃなかったか?

青白くみのる木通をきりきりともぐそばで
ルリビタキがとんだ。青くないほうだ。
ゆくりなくみとれて、それから思い出した
ように昨日みた明日をかき分けている。

あけびにかぶりつき、空き缶を踏み抜き、
アスファルトが敷かれて、信号が変わる。
猛スビードで駆け抜ける時間とうらはらに、
景色はゆっくりとうしろに送られていく。

未来世紀日本

いろんな意味でどこまで入り込めるかそれだけをテーマにっやてる
O・N・O,BOSS THA BLUE HERB FILM PRESENTS
未来世紀

自分の記憶が自分のものじゃないなら 存在なんてまるでただの映像みたいだ
はじめての場所でふと感じる懐かしさ 最近みるのは同じ夢ばかりだ
太陽はなぜか透明であたたかく 退屈な午後はオレに妙にやわらかく
あたり前のように鳥や虫が鳴き花が咲く 女の鼻歌が耳をからかう
2089蒸し暑い12月中旬 2週間以上酸性雨が降り続く
サビつく大気安定装置のせいで 空中ポリスを1歩出ると空気は薄く
空腹を癒すには10粒のカロリー吸収剤 人工フルーツジュースで十分
バスルームに映る世話好きなパーソナルニュースシステムと湯につかりながら会話する
人類は遂に使用済みな月の次は どうやら木星の開発に手を出す気だ
見向きはしない もう文明は地球には すでに大地は瓦礫と後悔のすみか
当然の報いかあるいは代償の罪か どっちにしろ科学は進歩しすぎた
最後に雪が降ってから8年が過ぎた クリスマスにいつしか夏が住み着いた
国境がなくなり進むボーダーレス 大陸ごとに1つの連邦になってる
通貨統合で円の時代は終わってる 中華連邦の一部に日本は組み込まれる
オレは手術まで請け負うDNAディーラー 主に扱うのは記憶中枢遺伝子だ
行き詰まったこんな荒みきった現代じゃ 過去への記憶旅行は一種の流行だ
3日目にさめ痛み依存度はなしさ 今よりもましな時代を選んで楽になりな
非合法でやってるんで注文の際は オマエ自身も用心してくれれば幸いだ
パスワードはFブロックに5台ある EメールBOXの真ん中の台の裏に書いた
そのナンバーにF.R.E.Eと 書き足したコードがオレの端末直通ダイヤル
中央情報部がいつもオレをつけ狙ってる 用意された懲役は250年分
ヘブンランドという名の収容施設 つまり水星の鉱山探削に送られる
自由というコトバは死語になり下がり 大衆は総番号制の管理下に
明日にはまた新たな終わりが始まり スモッグの中を同じ夢を垣間見る

太陽はなぜか透明であたたかく 退屈な午後はオレに妙にやわらかく
あたり前のように鳥や虫が鳴き花が咲く 女の鼻歌が耳をからかう

オレは昔権力に手を貸していた 悪名高い軍直轄第3派ホスピタル
何も知らずに当時は全てがタブー 70年から始まったリモートボーイ計画
子供にロボトミー手術を施し 脳にチップを埋め込む恐ろしい試み
誰かがおととし告発した通り 彼等は何も知らず街のいたる所に
完全に統制された社会を想定して 北朝鮮モデルの改良型で
強制的に感情に上限を 旺盛な好奇心を抑えるために設けた(しょうがなかった)
記憶が消えるという副作用を防ぐために オレのいたセクションが
架空の想い出をうえつける
病室の風景は今になっても忘れず それ以外はいつの日か不思議と忘れる
今じゃ気まぐれや喜怒哀楽は高く売れる 無気力ウィルスから身を守ってくれる
毎日決まった時間に日が暮れる 表通りに終結する秘密警察
静寂が灯る全体主義の夜 人はハチの巣のような狭いカプセルに戻る
密告の恐怖が互いの疑いをのぞく 臓器ハンターどもが寝込みを襲う
のしかかる重圧がいつまでもオレを起こす 最終便に仲間と乗る行き先は
地下第6ステーション通称「希望の城」 尾行をまくためドアの閉まり際に降りろ
ゲートをくぐる聞こえるE2-E4 CGの月全てが理想のシンボル
時効待ちの男 子孫探しの女 人種問わず入り混じる裏の心臓部
欲しいネタはいくらでも手に入る
タイタイフーン,ブッダホライズン,ブラウンシュガースライス
絶えず日常にはスパイスが不可欠 IQを上げるキューブリッククラシック
目一杯キマった行きつけのシアターで 3日ぶりに眠りにつかまってしまった
しばらくの間オレは起きようとしなかった そこでまた同じ夢をみたんだ

太陽はなぜか透明であたたかく 退屈な午後はオレに妙にやわらかく
あたり前のように鳥や虫が鳴き花が咲く 女の鼻歌が耳をからかう
話がある28時,例の橋で会えないだろうか? できれば一人の方がいい
突然のメールの元はスマックラースマイリー 今回はハシシよりもヤバイものらしい
自分はキメないくせにキキめが知りたいらしく 仕入れた時点でいつもオレが御指名だ
2番街から東は奴が元締めだ オレたちはホスピタルで一緒に働いてた
オレが橋についた時,奴はもう来てた,妙にまじめな顔をしてるのが窺い知れた
何かにおびえて変にイラついてた,あいさつもそこそこに奴は泣き始めた
「オレもチップを埋め込まれてたらしいんだ,いつかは分からないがホスピタルにいた間だ
偶然手に入れた記憶パーツの中にな,今のオレのオフクロと同じ顔をした女がいた
バカな,それは1999型だ,まさかと思いもちろんはじめは信じない
でも声や,しわの数,ホクロの位置や網膜タンパク質濃度までもが一致した
オレは誰だ? オマエはオレの友達だ オレは誰だ? どこまでがオレの意思だ?
じゃあオレがオフクロと思ってた人は誰だ? なあオレは本当はどこで生まれたんだ?
オレは誰だ? オマエはオレを知ってるんだろう この街は,オレの女は
教えてくれ オマエは誰だ? なあオレは誰なんだ?」

茶色い太陽が地上からは見えた 奴とはあのまま一杯も飲まずに別れた
うすうすその時点でオレにもわかってた 最近の夢の場所がいつどこかってな
スマイリーがオレにわたしたフロッピーケースをポケットに入れ72階で降りて
そして無言で,出来るだけ急いで,途切れ途切れの不安をしのいで
ひとりで部屋につきすぐにディスクを入れ,真っ暗な中みつめるディスプレイ
何が映れば満足なのかもわからず,汗だくで全身は震え
この記憶の持ち主の名前は不明だ,記憶されたのは1999年,ロードする
90年前, そこはかつての札幌 そこの

そこの太陽はなぜか透明であたたかく そこの退屈な午後はオレに妙にやわらかく
そこの太陽はなぜか透明であたたかく そこの退屈な午後はオレに妙にやわらかく
あたり前のように鳥や虫が鳴き
そこの太陽はなぜか透明であたたかく そこの退屈な午後はオレに妙にやわらかく
あたり前のように鳥や虫が鳴き花が咲いてた
自分の記憶が自分のものじゃないなら 存在なんてまるでただの映像みたいだ
はじめての場所でふと感じる懐かしさ 最近みるのは同じ夢ばかりだ
太陽はなぜか透明であたたかく 退屈な午後はオレに妙にやわらかく
あたり前のように鳥や虫が鳴き花が咲く 女の鼻歌が耳をからかう

星の王子様

武力行使の惑星から逃げ出した宇宙飛行士
それがぼく、星の王子様
地球との時差は22光年
電力ロケットの設計を始めた少年の時から
解き明かされた彼方からのメッセージは
地球に届く位強く、子宮に届く位深く
長い眠りから覚めたショックは直角的
昆虫のような第六感、触角的
春先、雪が溶ける頃に 大空に光るしっぽを引いて地球を飛び立ったのです、、、

こんな風に始まった旅の物語は
辺りが静かになって初めて聴こえたのでした
まず初めに降り立った月の表面は、光る砂が敷き詰められ
日本庭園のように岩が所々に置かれていました
まんなかには水のない川が静かに流れ
そのほとりでは、そよ風が暗闇の中へと
小石をせっせと運んでいくのです
月の裏側には、地球を見たこともないという女性がひっそりと住んでいました
「なぜ明るい方へ移らないのです」
と訊くと彼女は、僕と目を合わさずにこう答えました
「私には興味がないの、ここで幸せですもの
それにこの宇宙は広いようで、本当は何もないだけ
それよりもあなたはなぜ一人で旅をなさるわけ、教えて」
僕は
「知りません、でもそれを知るために旅をしているのだと思います」
と自信なく返しました
彼女は不思議そうな、切ない顔をしましたが
僕は月をあとにすると、火星へと向かったのです

火星にはロボット文明が栄えていて
最初に降り立ったロボットの偶像が祀られていました
災害を免れた栽培は植物をもたらし、種がお金になっていました
畑一面の巨大な葉っぱ達は太陽に向けられ
囲いで寒さから守られています
「君たちは機械なのに植物を大事に育てているんだ」
と感心すると、 ロボット達は
「他に何を大事にするのです」
とそっけなく答えて、 仕事場へと戻っていきます
「僕は今、何が大事なのか探しているんです」
とあわてて言うと、 彼らは加えてこう言いました
「水星に行ってごらんなさい、
あそこは誰も住んでいないから、ゆっくり考え事ができるでしょう」

こうして次にやってきたのが水星です
なるほど、この星には誰も住んでいません
でも他にも、ぼくのように憩いを求めてやってくる旅人もいました
ぼくがその人を見て
「やあ」
と言うと 向こうは迷惑そうに
「やあ」
と言います
きっとその人も一人で考え事をしに来たのでしょう
それからぼくは長い長い一日のなかでいろいろと考えました
そして発つ時に、旅人に
「じゃあ」
と言いました その人も
「じゃあ」
と言いました

木星は打って変わって大変にぎわっていました
みんな新しくできた斑点を一目見ようと
いろんな惑星からの学生や家族連れが、崩れた石を採集して楽しんでいます
ぼくは、と言いますと、旅をしているはずみに寄っただけで
ただそこにたたずみ、風に涼みながら景色を一人で眺めていました
そして地球のことを考えていました
「どうしたんだい」
と背後で声がするので振り向くと
そこには緑色の少年が立っていました
ぼくが何も言えずに彼の容姿を観察していると
「君の影が泣いていたからさ」
とぽつりと言うので ぼくは少し考えてから
「今ぼくの星はもっと泣いているんだ」
と答えました 少年は
「知ってるよ、地球だろ、よかったらぼくんちにおいでよ」
と笑って飛び立っていったのであとを付いていくことにしたのです
そして次の朝には金星につきました

金星は一日が一年よりも長いという不思議な星です
硫酸の雲を通り抜けると褐色の大地が広がり、
それは熱い、熱い空気に包まれました
「あそこでピクニックをしているのがぼくの家族だよ、
うちのお父さんは物知りだから話してみるといいよ」
と少年に連れられ
8000年も生きているというおじさんにぼくの身の上話をしました
「ああ、空気がありすぎてパンクした星ね、
そりゃ一度は行ってみたいけど住んでみたいとはおもわねえな」
と言われて、何も返せずに困っていると、
彼はもう少し優しくこう言いました
「わかるかい、みんな落ち着ける場所さえあればいいのさ、
誰もが壁のないような部屋に入れられていると、
ゴキブリのように隅を探したくなるもんさ」
ぼくがその意味を理解できるようになったのはずっと後のことです
おじさんは
「とにかく明日は久しぶりに土星でオリンピックをやるから、
行ってみて感じてきなさい」
とだけ言い残してぐったりと眠ってしまいました
ぼくは少年にありがとうを伝えてから、その日のうちに土星へと向かったのでした

土星では思ったより慎ましいオリンピックが開催されていました
「みんな参加することに意義があるのです」
と二酸化炭素ボンベを背負った冥王星人が胸をはって言いました
競技はただ一つ、宇宙遊泳の美しさを順番に競うのです
メダルもありません
みんな違うスタイルで誰もが華麗に踊り、海王星の女の子が一番きれいに舞いました
いつのまにかぼくの番になって、遠慮をしていると
「では君の星の人はどんな舞をするのかね」
と訊かれ
「私たちは地面に足がくっついているので、できないのです」
と答えると
「そんな不自由な人たちもいるものね、かわいそうに」
とまわりに真剣に同情されました
ぼくはそのとき何かを言いたかったのですが、
なんだか悲しくなって土星を離れました

結局最後に残ったのは、ぼくと太陽と地球、この三つでした
真っ暗闇の宇宙で絶えず燃える太陽は、辺り一面を大事に照らしているのですが
ほとんどの光は反射されることなく、永遠に休みなく走っていきます

ぼくが目をつむって太陽を浴びていると、
自分がしゃべる声がかすかに聞こえました
「ぼくは恋しい、 美味しい空気
音と匂いと形と色が
水と草と動物と人が
夜明けと夕方と昼と夜が
雨と晴れと曇りと雪が
春と夏と秋と冬が」
これを聞いてぼくは、自分のなかの疑問がゆっくりと、消えて去っていくのがわかりました
ぼくは太陽にお礼を言ってから、涙を捕まえて地球へと向かったのでした

月曜日は月に降り立って
火曜日は火星の植物と戯れて
水曜日は水星で一休み
木曜日は木星で友達に会ってから
金曜日は金星でピクニック
土曜日は土星の輪っかでオリンピック
日曜日には太陽に光を浴びに行って
暑くなったから地球へと帰ったんだ

 
Quantcast